私の住んでいるカルフォルニア州では

約１０年ほど前から

深刻な水不足問題を抱えていた事もあり

芝生が敷き詰められた庭を

水遣りを頻繁にする必要のない

カルフォルニア原産植物に入れ換えるプログラムなるものが

強く推奨されてきました。

流れとしては

まず市にこのプログラムに興味がある旨を伝えます。

後日土地の現状や広さを調べる職員がやってきて

市が作成したカルフォルニア原産植物リストの中から

どの植物を庭のどの位置にどんな感じで植えるかを話し合った後

工事の日を決め

工事当日に作業員がやってきて工事をしてくれる

とまあなんともスピーディーで素晴らしいプログラム

その上

この工事に必要な経費は市が補助してくれるので

このプログラムを使わない手は無い！

のですが

私はこのプログラムを使わず地道にひとりでやっています。

その理由は

彼等のやり方に賛同出来ない

というか

自然/地球のことよりも人間的観点から見た

利便性や効率性が最重要視されているが故に

長い目で見た場合

自然環境を更に悪化させかねない

と思うから

例えば

芝生だけでなく

他の植物達や

その根元や地中に生息している昆虫達といった

さまざまな命の営みが存在している土壌を

あたかも壁紙を剥がすかの如く

丸ごと一気に剥がす行為って

物凄く乱暴ではないですか？

土の中には

多くの微生物が存在していること

そして彼等は

長い時間をかけて

とても神秘的な命のネットワークを構築していることを理解している人なら

こんな乱暴なやり方は絶対思いつかないと思う。

草や昆虫達が住んでいたエリアをごっそり取り除いた後

再び雑草が生えてこないようにと

ビニールやダンボール等を敷き詰め

その上に

なんの微生物も存在しないまっさらな土を撒いて

人の目には綺麗に整地された状態にうつる土地に

カルフォルニア原産植物を植える

これが市の推奨するプログラムなのだけど

地球のコア部分から地表部分に及ぶ

土壌全体の命の営みが遮断され

微生物や昆虫類が全く存在しない

ついさっきまでビニール袋に入っていた

土の生命力って如何程のもの？

それにこういう土って

強風が吹けば飛んでしまうし

水分も上手く吸収できないから

せっかく雨が降っても

水は地中には吸収されず

道路に流れていくだけなんだよね…

破壊された自然環境の修復は

長い時間を要するものだと捉え

自然界と再び繋がるプロセスにもなり得るこの時間を

大切にしていきたい

そんな想いと共に

はるか昔

西欧人達が見た

まるで楽園のように美しかったカルフォルニアの姿に

少しでも近付いていけるよう

先住民族のライフスタイルや叡智を

日々の生活の中で実践していきたいと思います。